これは、私が19歳の1年間だけ経験した、奇妙な出来事です。
私は、当時浪人生でした。
毎晩だいたい夜中の2時くらいまで受験勉強をしてから寝るのが、習慣になっていました。
もともと寝付きが悪い上に、直前まで勉強していたせいで、布団に入っても、すぐには眠れません。
眠りに落ちるまで布団の中でゴロゴロしていると、何かが聞こえてきました。
「何だろう?」と、よく耳を澄ますと、足元にあるタンスの上から、男女の会話が聞こえてきていたのです。
それは、まるでタンスの上にラジオを置いて、音量を小さくしてラジオを点けているみたいに、会話の内容は分からないけれど、ボソボソと会話しているような話し声が聞こえている感じでした。
その時は、「何?これ」と思っている内に眠ってしまい、それで終わりました。
ところが、この夜をきっかけに、毎晩ではないにせよ、夜中にタンスの上から男女の会話が聞こえるようになったのです。
最初は、直前まで勉強して疲れているせいだと思っていました。
ですが、たまに早寝して10時頃に寝た夜も、必ず夜中の2~3時に目が覚め、タンスの上から会話が聞こえるようになってきたのです。
さすがに、これには恐くなってきました。
何かあるのかも、と、おちょこに日本酒を入れてお神酒のように、タンスの上の会話が聞こえる辺りに置いてみました。
1回目は、日本酒は1週間近く置いておいても、そのままでした。
「効果ないのかなかぁ」と1度、日本酒を置くのをやめてみましたが、相変わらず会話は聞こえます。
やはり気持ち悪いので、また日本酒を置きました。
すると、今度は3日も経たない内に、日本酒にカビが生えてしまったのです!
「えっ?前は1週間もったのに!」と、余計に恐くなり、それ以降は日本酒を置くのはやめ、夜は耳栓をして寝るようにしました。しかし、この現象は、私が20歳になった途端、ピタッとなくなりました。
20歳には進路も決まったので、やはり浪人のプレッシャーのせいかとも思いました。
でも、19歳の1年間だけ、やたらに鼻血が出ていたのですが、これも20歳になったら治まりました。
やはりこの1年間は、何かを呼び寄せていたのでしょうか。
あの、2度目の日本酒に、カビがびっしり生えたのを見た時の恐怖感は、今でも忘れられません。