心の苦しみを乗り越える最後の方法
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発作。
ほんの小さな頃から喘息と付き合ってきた私としては、「ああ、またか」と諦めに似た心境になっている。
「大丈夫?」
田中さん(仮名)が心配してくれる。
彼女はいわゆる女神で、誰に対しても優しい。
一体どういう風に育てられればああなるのか。彼女が誰かを悪く言ったり、愚痴を言うのを聞いたこともないし、想像もつかない。
高校二年の10月、私は入院する羽目になってしまった。
「つらいね。苦しいね」
田中さんは見舞いに来て、背中をさすってくれた。
「お医者様呼ぼうか?」
「大丈夫」
そう答えたけど、程なく点滴が追加され、鼻に管が差し込まれた。
陸の上で溺れるような感じになって、苦しくて。
「ちょっと酷くなっちゃったわねぇ」
いつの間にか、田中さんの隣に女の人が立っていた。
女の人は田中さんの母親と名乗った。
「キミは、無理しすぎ。持病があるんだもの。身体は大切にしなきゃダメじゃないの」
女神に育てられると女神になるんだなぁ。私は妙に納得した。
「私も持病があったのよ。けど、娘の運動会だもの。張り切っちゃった。
それで寝込んで、手術も失敗だったの」
温かい手が私の手を握り締める。
「大丈夫?ごめんね。居眠りしてたと思う」
「久しぶりに母さんの夢見ちゃった。あたしが幼稚園の頃突然いなくなっちゃったんだけどね」
「運動会の日だっけ」
あからさまな同様。
そして、私は彼女の母親の言葉を思い出した。
「言っちゃいけませんよ。私のことは。あの子が後悔してしまうから」
「少し楽になったみたいだね。良かった」
そしてそれから、その話題に触れることはなかった。
神奈川県での話
Tさんより

心の奥のモンスターとサヨナラして
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