私が小学5年生の時の忘れられない体験です。
神奈川県のある漁村でのこと。
夏休み前のある暑い金曜日、学校の帰りに、その村の網元のA君家に仲間で遊びに行きました。
庭先では何回も遊んでいましたが、家に上がったことはありませんでした。
でもその日はおばあさんがいて、中でスイカをご馳走になりました。
ご馳走になったあと、A君が自分の部屋に案内してくれて、皆でゾロゾロついて行きました。
途中、奥の薄暗い部屋に大きなお仏壇が置いてあり、線香臭いのと、ちょっとここは涼しいな、と思っていると先頭のA君が突然お仏壇の前で止まりました。
私達も拝むのかな、なんて思っているとA君はジーッとお仏壇を見ていましたが、突然、本当に突然、わーっと泣き声を上げたのです。
学級委員長をやっていたA君の泣く姿なんか見たこともなかったので、ビックリしましたが、そのあと「お父さんが死んじゃう!」と泣き叫んだのでもっとビックリしました。
仲間も訳が分からず、途方にくれていると、おばあさんが何事かと飛び込んで来ました。
その後はあまり覚えていないのですが、皆で即A君の家をあとにしたようです。
家に帰って親に事の次第を教えたら、やはり驚いていました。
次の日に親がスイカのお礼を言ったら、A君のお母さんが笑って「本人も何だか分からずに、急にお父さんが死んじゃうって思いこんだそうなのよ」と言っていたそうです。
「うちの人も元気」と言っていたと、親も笑って教えてくれました。
なーんだと子供心に安心していたら、とんでもない、月曜日に学校に行くと、A君のお父さんが日曜日の朝、お客を船に乗せて沖に行き、そこで心不全で急死したそうです。
驚いたと同時に、暑い日でしたが、その話を聞いて、ブルッと寒くなりました。