これは、長野県でのことです。
某大学のバスケットボール部では、練習後、こぞって銭湯へ繰り出すことがありました。
その日は、1時間ほど離れた温泉へ行こうということになり、手を挙げた9名が2台に分譲して出かけました。
郊外へ出ると、走行車もまばらになり、2台は連なって走りました。
先頭車が青信号で走り抜けると、後続車は急停車するのがバックミラーごしに見えました先頭車では「ネコでも飛び出したのだろう」と話していました。
しかし、いつまで経っても後続車は追ってきません。
それどころか、車から全員が降りて、あちらこちらを見回しています。
先頭車も戻って「どうした?」と聞きました。
すると、欧米人並みにがたいの良い部員が血の気の引いた顔で「今、女の人が横断歩道を渡ったから急ブレーキを踏んだんだけど」と言うのです。
しかし、同乗者は誰も、そんな姿は見ていませんでした。
誰かが「この間の正面衝突、この辺りじゃなかったか?」と言い出しました。
「そう言えばあったね」「軽の女性が即死だったはず」「雨でスリップしたって話だったよな」口々に言い始めました。
そのとき、偶然とは言え、通り雨が降ってきました。
温泉など、どうでも良くなり取って返したことは言うまでもありません。