これは、もう亡くなった祖母が若い頃に体験した話です。
ある日、夜に外出する用事ができて出掛けた帰り道での出来事です。
通り道に山道がありました。
昔の事ですから、もちろん街灯などなく、明かりは祖母が持っている提灯だけでした。
その提灯が、山道でフッと消えてしまったそうです。
幸い、月が出ていたので、その月明かりを頼りに歩いていた時の事です。
女性の夜歩きですから、用心の為に、祖母は飼っている犬を連れていました。
山の頂上辺りまで来た時、今まで先を歩いていた犬が、突然祖母の後ろに隠れました。
そして、凄い圧迫感を前方から感じたそうです。
その圧迫感の中を歩いていると、自分の髪の毛が1本1本逆立っていき、何かが後ろから付いてくるのが分かったそうです。
全身には鳥肌が立っています。
怖いとは思いながらも、山の中にいつまでもいたくなかった祖母は、何とかその圧迫感の中を通り抜けました。
それと同時に、逆立っていた髪の毛も元に戻り、後を付けていた気配もいなくなったそうです。
そして、あんなに祖母の後ろで怯えていた犬が、また意気揚々と祖母の前を歩き出し、後は無事に家に帰れたそうです。
この話を聞いた時、祖母は「タヌキに化かされた」と言っていましたが、何とも気持ち悪い話だと思いました。