心の苦しみを乗り越える最後の方法
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我が家に初めて鼠が現れて困っていた頃、父が一匹の猫を連れて来ました。

配達先の店に居た野良の子猫で、当時の我が家には動物はいませんでした。

一先ず子猫のミルクと餌を買った父は、助手席に猫を乗せて仕事。しかし猫は餌よりも乗り降りする父から離れずにいたそうです。寂しかったのでしょう。

我が家に来て数日で猫は馴染んで、夜は皆を起こさないように私の部屋で寝かせました。

そんなある日、微かに変な臭いがする様になり…其れが私の部屋で鼠の死骸が原因でした。

私の勉強机の下に、どうぞと言わんばかりに一匹置いてました。猫からの気持ちですから叱らず、鼠はこっそり埋めました。

賢い猫で、一緒にいる内に猫が何を求めているのか大体解るようになりました。

そんな猫にも近所の猫か、お供がつき『ナー』と私達は呼んでいました。

もしかしたら子供だったかも知れません、ナーが裏口の窓に来ると我が家の猫は外に出たいと訴えました。

家族で一番一緒に居たのは恐らく私で、風呂も寝る時も一緒でしたから思い出も沢山あります。

しかし、ある8月1日のこと…物置小屋の隙間に猫がいるのですが様子がおかしいかった。

母は夏バテじゃないかと言いましたが、よく見ると赤蟻がいるのです。

赤蟻は肉食で生物の死骸に集まります、其が生きた猫に集まるという事は其れ程弱っているのだと…私は蟻を払って猫を屋内に入れました。

そして猫は死にました。
少し苦しそうで、起き上がろうとしましたが『無理しなくて良いよ』と撫でると一声鳴いて。

後に思ったのは猫が尻尾を怪我していた事、玄関に蝮の死骸があった事。

もしかすると猫は蝮に尻尾を噛まれたのかも知れない、猫が蝮を殺して無かったら家族が噛まれていたかも知れない。

猫は私の部屋側の紅葉の下に埋めましたが、其が解らないナーは毎日いつもの場所に来て待っていました。

或冬の朝、登校前に家の庭でナーを見ました。ただ、元気がない。

私達が母に送られて登校した後、ナーは死んでいたと聞きました。

ただ、朝は庭の端にいたナーは母が見た時…家の猫を埋めた紅葉の傍で死んでいたそうです。

だからナーは紅葉の側の一ツ葉の木の下に埋めました。

ナーが鳴けば家の猫は直ぐに玄関に走っていましたから、きっと家の猫がナーを迎えに来たのかも知れませんね。

不思議な様な、悲しい様な話ですが私は其れ以上の愛情を感じました。

心の奥のモンスターとサヨナラして
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