俺は精神はかなり強いほうだと思うよ。
何しろ離婚で鍛えられたんだ。
ヒステリックな女房と、いや、元女房とは東京の大学に通ってた頃に知り合った。
情緒不安なところも可愛いと、若さにかまけて俺の脳がウマく変換したのは言うまでもない。
人間の子供はいなかったが、猫のミィを子供のように猫っかわいがりしてたんだ。
深夜の運動会、散歩に宴。
作り直しの食事。
適温にチンした缶詰。
わがままミィに笑顔で従ってたぜ。
元女房と別れる時には、お互いどちらが引き取るかで全力で揉めた。
仕事でもロクに成功した事がない俺だが
一生分の努力ってやつを使ってミィの親権を勝ち取ってやった。
ヒステリックでノイローゼ気味の元女房と別れてから二年。
俺はミィと幸せに暮らしてる。
そんな元女房がミィに会いたいと連絡してきた。
元女房と会うのも二年ぶりだ。
毎日念入りにブラッシングしピカピカに輝いてるミィを見たら、また「私が飼いたい」など言い出さないか
俺はそれだけが心配だ。
おっと、ちょうど元女房が来たようだ。
「あなた、久しぶりね。そう…。まだミィがいるのね。ミィは二年前に…車に…天国へ…」
あぁ。この女は相変わらず精神がおかしい。